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ヨネックス セーフラン100 履いてみた!

ヨネックスが自社の得意分野であるカーボンプレートを内蔵した

足に優しいランニングシューズを開発、発売しました。

 

ランナーの膝を守る、かつ完走からサブ4までをターゲットにしたシューズです。

 

試し履きと試走をしてみましたのでレポートします。

 

足入れの感覚は、まずは履き口がすごく締まっていて

密着感があります。

 

これは、アッパー部分が非常に薄く、タング(ベロ)もレーシングシューズのように薄く作られており、

かかとから甲を結ぶ履き口のラインが、足のくるぶし横あたりを上からホールドしてくれるためです。

 

また、ヒールカウンターは、これといってパーツで補強しているわけでもないのですが、

ものすごく存在感があります。

 

これは、靴底に入っている3Dのカーボンプレートのかかと部分の縁が立ち上がった構造となっていて

ヒールカウンター部分の土台をしっかりと硬くしてくれているからなんですね。

 

もとはと言えば、ヨネックスは、テニスやバドミントンのラケットはもちろん

アルペンスノーボードやレース用ロードバイクのカーボンフレームなど、

かなりストイックな分野でのカーボン技術に卓越しているブランドです。

 

そんなヨネックスがカーボン入りのシューズを見逃すはずがありません。

しかもうれしいことに、それをあえてレースの世界のものを作るのではなく、

一般向けの「膝の痛み」や「完走」「足を守る」というところに惜しみなく注いでくれた点、

ヨネックスのマーケティング戦略は素晴らしいと感じます。

 

さて、シューズですが、

ミッドソールは3段重ねの厚底(足を守るための厚底に言及しています)

 

1、パワークッションプラス

  12メーター上から落とした生卵が割れずに6メーター以上跳ね返す

2、しなりやねじれを計算しつくした3D形状のカーボンプレート

3、これまでの素材より軽量で柔らかいフェザーバウンスフォーム

 

このおかげが立っている時や歩いている時は

フワフワします。

 

グッとふむとフワーという感じです。

 

トウスプリング(ロッカー)つまり、

つま先の反り上がりも、他社のセイフティシューズ並に上がっていて、

重心を前に持っていくと、コロンと前に転がる感じです。

つま先部分のミッドソールは薄く、

足裏の感覚では、母子球から先は指がガクッと落ちるような印象がこの時点ではあります。

 

ただ、いずれの感覚も以前試し履きをしたグライドライドほど

極端な味付けではなく、

ビギナーが履いても問題のない範囲内です。

転がる感じもかかとは平らな感じで

ロッキングチェアのようなグライドライドとは異なります。

フワフワ感もグライドライドは足裏が腫れたような感触を受けますが、

セーフラン100はふむ込みでフワフワが出る皮膚感覚です。

 

実際にキロ7.5ぐらいから徐々にスピードをあげて走ってみました。

7.5ペースだと、厚底のせいか、最初は足裏かかと周辺をスリやすく感じます。

この辺はかかとにもロッカーがあるグライドライドとは異なる感じです。

 

足をスらないように丁寧に走ると前足部のコロがりを感じてきます。

立っている時に気になった指先のガクッと落ちる感触は走ると全くありません。

 

ミッドソールの潰れるエネルギーが、つま先にロールしながら圧延をかけられて

最後につま先でカラダをを押し出してくれる感じです。

 

シューズに重心の移動を任せていくと、まるで坂道を加速していくように

徐々にスピードが上がっていきます。

この辺もグライドライドよりはマイルドです。

 

気がつけばいつの間にかペースが上がっていました。

そこで驚いたのは、ミッドソールの感覚が

スピードによって変化すること、

これは、どんな靴でもあることですが、

スピードへの対応力がすごいということ、

これが、3つの構造からなるミッドソールの真骨頂かと思われます。

 

ゆっくり、じわっという荷重には、ふわっと底面のフェザーバウンズフォームの

柔らかさが効いています。

スピードが上がり、パンっという荷重には、バウンス(跳ね上がる)の感触が減り、

硬く、踏みごたえのあるミッドソールに変わります。

 

おそらくカーボンを挟む上下のミッドソールの物質的な圧縮変形が

入力のスピードによって変わり、間にカーボンプレートが挟まることで

上下の圧縮変形のタイムラグができて硬さの変化に変わっているとし推測されます。

このカーボンプレートがこの靴の最大のキーとなっていることは間違いありません。

 

いずれにしても、車で例えるなら、ゆっくり走っている時は

アメリカ車のような乗り心地で、中速域ではフランス車の油圧サスペンション、高速域ではドイツ車のような

カチッとした足回りに変化し、どの速度域でも自然な反発を感じ足が進みます。

 

アッパー部分は、アシックスで例えると、

ターサの甲部分に、ゲルカヤノのパーツががっつりとついたヒールカウンターが

一緒になった感じです。

 

ヨネックスのカーボン技術が見事に反映された一足をなりました。

フルレングスのカーボンプレート入りで15,000円(本体)はコスパも良いですし

ウィメンズが22cmからあるのも嬉しいですね

 

 

ハイテクを競技ランナーに与えてプロモーションしたナイキとは、

同様の製品にも関わらす、全く相反するコンセプトで、

一般ランナーの障害や故障をターゲットにしたこのシューズは

多く広まって欲しいオススメの素晴らしい一足となりました。