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ヒールカウンター

ヒールカウンターというパーツをご存知でしょうか?

日本語では月形芯といいます。

かかとの内側と外側を跨ぐように半月のような形で入っている補強のことです。このヒールカウンターがあるおかげで靴のかかとが広がらないようにできています。

ヒールカウンターの役目は、靴の履き口が広がらないようにすることはもちろんですが、このパーツがあることで、ヒトは歩くのが楽になるのです。それは、くるぶしの下、かかと周りをしっかりとホールドしてくれるからです。

前回の記事を読んだ方はお分かりかと思いますが、人の足の足首周りはとてもよく動きます。これは同時にくるぶしから下のかかとの骨もよく動くことを意味します。

また、同時にヒトの足は歩行時に土踏まずのアーチ構造がたわむように動くことでかかとの骨も側方に傾くように動きます。

この一連の動きは足に地面から伝わる衝撃を緩衝してくれる効果があるのですが、柔らかい地面の場合、この動きは有効的なのですが、硬い地面ではこの足の動きだけでは、ちょっとハードになってきます。

ヒトは有史以来、もともと柔らかい地面の上で生活をしてきましたが、やがて路面は硬いものに代わり靴を履くようになってきました。今のアスファルトやコンクリートに覆われた地面は靴なしでは長時間あることはできません。

ヒールカウンターは、靴の中でかかとの側方に倒れるオーバーアクションを抑える効果があります。その事が足の一歩一歩の着地時のふらつきを抑えてくれるのです。

高級な紳士靴の売り場でシューズをご覧いただくと、このヒールカウンターが実に頑丈にできているのがわかります。

逆に安い革靴とかだと、ヒールカウンターの部分にステッチ(縫い目)があるだけで月形の芯が入っていないか、とても柔らかいのに気づくはずです。大量生産のシューズになって省略されがちなパーツの一つでもあるのです。

陸上のスパイクやサッカーのスパイク、自転車競技用の靴にも頑丈なヒールカウンターが入っています。

これらの靴はあまりかかとを使う靴ではありませんが、運動中の靴の中ではかかとの動きをかなり強固に制御しないと足全体が暴れてしまうということを物語っています。

オーダーメイドインソールもこのヒールカウンターと密接な関係があります。

オーダーメイドインソールは運動中の足の土踏まずを支える効果があります。オーダーメイドインソールが入っていない靴を履くと、ヒールカウンターへの依存度が高くなります。

逆にヒールカウンターの弱い靴を履くとインソールへの依存度も高くなってしまいます。

靴とインソールは助け合って作用しているんですね。

皆さんもご自身の靴をチェックしてみてください。そして、シューズ売り場でもかかとをチェックしてみてください。しっかりとしたヒールカウンターのついた靴を履いて歩いてみると、足がとても安定するのがわかります。

オーダーメイドインソール が入るとさらに靴を助けてくれますよ。